東広島市歯科医師会

  Q1: 学校歯科検診で歯並びについて指摘されたのですがどの様にすればよいでしょうか?
歯科検診では児童生徒の歯並び,咬合に不正がないかを調べ、
0:異常なし,1:要観察,2:要精検
と3段階の判定を行います。このうち1あるいは2と判定された場合、学校から歯科受診を勧められます。学校歯科医、かかりつけ歯科医などに相談してみましょう。
これらの判定基準につきましては、明確な境界がないのが現状で、目安にしか過ぎません。おおむね、
0:異常なしと判定されるものは、歯並びの乱れがそれほど大きくなく、前歯も奥歯もほぼ良好な噛み合わせを持っている場合
1:要観察とは、歯並びの乱れまたは前歯や奥歯の噛み合わせなどの問題を持っている場合
2:要精検とは、先天的な問題に起因した歯並びの問題や著しい顎のズレを持っている場合です。
見た目から明らかな歯並びの乱れを持っていたとしても、噛み合わせの問題を持っていたとしても1:要観察と判定します。また、明らかな問題はあるがそれほど重大でないと思われる場合は0:異常なしと判定するようです。
観察にとどめる理由としては、歯科矯正治療は保険の適応外であるという保険制度の事情も関係しています。矯正治療の是非については、その本人やご家族、そしてかかりつけ歯科医などと相談の上でお考え下さい。2:と判定される場合はそれほど多くなく、むしろ稀です。先天的な問題に起因した不正咬合や顎変形症をともなう不正咬合に対する歯科矯正治療は保険治療が適応されます。
特定の疾患を伴う不正咬合患者に対する歯科矯正治療では、行政による医療費補助の制度もありますので、育成更正医療の指定機関でご相談下さい。
  Q2: 電動歯ブラシは有効なのですか?
電動歯ブラシには、毛先が反復運動するタイプの第一世代、回転するヘッドと毛束が特徴の第二世代のタイプ、さらに音波を用いて毛束が1分間に31,000ストローク以上の反復運動をする第三世代のタイプがあります。一般の電動歯ブラシは毛先が歯面に確実に当たらなければ歯垢を除去できません。
しかし、音波歯ブラシは、発生する音響エネルギーがお口の内の水分を媒体
として伝わっていき、毛先が当たっていない部分の歯垢も除去することが可能です。つまり、通常の歯ブラシや電動歯ブラシでは到達できない部分までも清掃でき、非常に有効的です。
だからといって、お口に入れているだけで歯垢が簡単に落ちるというわけではありません。どの電動歯ブラシであっても、歯科医院で正しい使い方や歯面への当て方について指導を受けることが重要です。
  Q3: タバコを吸っていると歯周病が治りにくい?
歯周病を治りにくくしている原因には、お口の清掃状態の悪さの他にも、いくつかの因子があります。加齢、遺伝、ストレス、特異的細菌の存在、糖尿病などが挙げられますが、もっとも影響を与えていると言われているのが、喫煙です。 
喫煙者(ヘビースモーカー)は、喫煙経験のない人に比べて、重度歯周炎を発症する危険性が5~7倍高く、歯周病の進行度が20年早まることが知られています。
また、喫煙量が増加するにしたがって、歯周病が進みます。お口の状況を自覚して、頑張ってブラッシングしたり、定期的にメインテナンスを受けても、治癒反応が起こりにくい場合が多いようです。これは、お口だけの問題ではなく、全身的に抵抗力・免疫力が低下しているからで(10年老化が進むとされています。)生命の危険という意味から禁煙をすることが望ましいと言えます。
  Q4: 虫歯が痛み出したので治療したいのですが、現在妊娠しています。
もし麻酔の注射が必要だとすると、赤ちゃんへの影響はないのでしょうか?
痛みがなく虫歯の治療をするためには、実際、麻酔の注射(局所麻酔)が必要な場合があります。
現在、歯科治療で使われる局所麻酔には、塩酸リドカイン製剤などが主に用いられていて、さらに、麻酔効果の持続時間を延長させる目的で、エピネフリンなどの血管収縮剤が添加されています。
一般に、通常の使用料では、お母さん、赤ちゃん共に問題はないとされています。
しかし、妊娠中の麻酔注射の安全性は100%確立されているわけではありませんので、痛みによる全身への影響と麻酔をすることによるリスクのバランスを考えて行われうのが現状です。
まずは歯科医院に行って、虫歯の進行状態を調べてもらうことが必要ではないでしょうか?
  Q5: 歯磨きは虫歯の予防にどの程度役立つでしょうか?
歯磨きは単純な操作なのですが、虫歯予防にはこれがもっとも大切です。虫歯の原因菌は、口の中に常に存在していて、食物の食べカスに混ざり、自らネバネバした物質を作り出しています。そして、機会があれば歯に付着して仲間を増やそうとしています。歯ブラシをすることによって物理的に歯面をきれいにすることがまず大切です。
  Q6: 甘いものは、本当に虫歯の原因になるのですか?
虫歯は、歯が脱灰されることから始まります。その原因は、酸を作り出す細菌が歯に付着することから起こります。その細菌の栄養源が糖類なので、甘いものは虫歯の原因菌を繁殖させる要素になります。
  Q7: ガムは虫歯の予防になりますか?本当に虫歯の原因になるのですか?
以前はガムを噛んで歯の汚れを取るとされてきましたが、それはあまり期待できません。食片を小さな虫歯などに押し込む傾向があり、甘味料として糖分が入っていますので、この点ではかえってよくないようです。そのため、最近では糖類が入っていないガムが市販されています。
しかし、ガムは、虫歯の予防だけではなく他にも多くの効果をもたらします。その第1は、口の中が爽やかになり口臭の防止に役立ちます。また、ガムを噛むことによって唾液の分泌がよくなり、消化を助けます。さらに、噛むことは脳の近くにあるあごの筋肉を運動させることになり、脳に通じる脈管の活動を助け、脳の血液循環がよくなり、頭の回転がスムーズになります。時には緊張を和らげ、また反対に緊張を高めるのに役立ちます。噛めば歯に刺激を与え、歯肉の血液循環もよくなるので歯周病の予防にもなります。
  Q8: 最近、キシリトールが入っているガムや歯磨き剤というのを聞くのですが、キシリトールって何ですか?
別名「キシリトット」といわれるもので糖アルコールの一種です。においがなく甘味があり本質は糖質補強薬といわれています。そのため、糖尿病患者の代用糖として使用されることがあります。湿潤剤、油脂の変質防止、色素の安定、ビタミンCの安定、畜肉や魚肉の練り製品の変質防止などに使われています。
 最近、虫歯の細菌を抑制する作用があることが知られ、ガムや歯磨き剤に混入されています。効果については、まだ不確定な部分もあるようです。
  Q9: タバコのヤニを取る歯磨きは、歯そのものを悪くするように思えるのですが。
歯に付着するのはタバコのタールです。これを溶かす作用のあるものを永く使用するのは、歯に障害を与えやすいので、注意して使用してください。
歯科医の所で、歯の表面を研磨してもらうのがいいでしょう。
  Q10: 虫歯を放置するとどうなりますか?
ごく初期の虫歯は、痛くもありませんし、普通に食事も出来ますので、障害はありません。そのままの状態で経過するならば、放置しておいても差し支えないわけです。
歯の硬組織には自然治癒力がないので、虫歯は今以上に良くなりません。現状が最も良い状態です。しかし、放置しますと、虫歯は徐々に進行します。そして歯の近くの栄養を司る歯髄(一般に歯の神経と呼ばれているもの)に病気が波及し、痛みを伴ってこれを破壊し、さらに骨の中まで拡大して腫れ上がり、歯の生命を奪って、ついには抜歯ということになります。こうなっては大変なので、これを未然に防ぐために治療が行われます。虫歯の進行は年齢や歯の種類によっても異なり、乳歯や若い人の場合は進行が速いので、早めの治療が大切です。
なお、虫歯は本来慢性の疾病いわれており、高齢者における初期の虫歯は、殆ど進行しない場合もあるので、時には治療を延ばして様子を見ることもあります。
  Q11: 歯周病の原因は何ですか?
一番の原因は歯の汚れです。その他、不正な歯並び、適合性の悪い修復物の歯肉への刺激、義歯のバネ、咬合不全、加重負担、歯ぎしり、全身的疾患、精神的ストレス、体質や遺伝子的要因などが挙げられます。
  Q12: 歯の汚れって何ですか?
一般的に汚れとは、歯の着色ではなく、プラークの付着や歯石の沈着などを指します。
  Q13: プラークを説明してください。
「歯垢」と書きます。歯の表面は食物の残りカスや唾液によって、被膜が生じやすくなっています。そこに細菌が吸着して繁殖を始めると、ネバネバとした代謝産物を作り、歯面に少しずつ付着し盛り上がってきます。さらに唾液や歯周ポケットからの浸出液などが加わって沈着物が定着します。これをプラークといいます。いいかえれば細菌の塊のようなものです。この段階はまだ軟らかい状態で、歯面との付着も強固ではありません。プラークは歯石になる前段階のものです。
  Q14: 事故で抜けた歯や折れた歯がくっつくと聞いたのですが?
事故で抜けた歯は、適切な処置をすることでくっつく可能性があります。
この場合、歯科医院に着くまで歯を乾燥させないことが大切です。しかし水道水ではだめで、手軽に手に入るものとしては牛乳の中につけておいて下さい。お口の中に入れておくのも良いです。ただし飲み込んでしまわないよう、歯と唇の間に入れておくのが良いでしょう。そしてできるだけ 早く歯科医院を受診して下さい。
歯が折れた場合、そのかけらが使える場合がありますので、捨てずに持ってきて下さい。
  Q15: 最近、虫歯菌はうつると聞いたのですが?
うまれた赤ちゃんのお口には虫歯菌はいません。その後歯がはえて、虫歯菌が住める環境になると虫歯菌が登場します。
この虫歯菌は、ふれ合う機会の多い家族からうつる場合が最も多いです。
だからといってスキンシップをしないというのは本末転倒で、ご自身のお口の健康のこともかねて、ご家族あげてお口の衛生に気をつけられると良いでしょう。「三つ子の魂まで」といいますが、お口の衛生に気をつけられている親御さんの姿を見て育ったお子さんは、自然とその習慣が身につくでしょう。
  Q16: 口臭が気になるのですが…
生理的な口臭は、人間として誰でも持っています。また、タバコやお酒、ニンイクなどの飲食、嗜好品による口臭は、一過性のものといえます。
問題なのは、病的口臭ですが、その原因物質は、VSC(揮発性硫黄化合物)といわれています。お口の中のVSCには、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドの3種類があり、これは舌背後方部(舌の後ろの方)における細菌の腐敗作用により、産出されます。
歯周病が進むと、口腔内の環境変化に伴い、VSCが増えるようです。病的口臭の治療は、歯周病の治療と舌苔の管理が必要です。
  Q17: 歯科医師会の「8020運動」って何ですか?
高齢化社会に向かい、老人の生活における質の向上(Quality of Life)を確保するため、厚生省、日本歯科医師会が主体となり、「80歳で20本以上の歯を残して、豊かな食生活を楽しみ、活力のある高齢時代を築く」を目標に全国的に推進している運動です。
なお、広島県では、その中間目標として「5525運動(55歳で25本の歯を残す運動)」も併せて推進しています。
  Q18: 歯周病の予防方法は?
歯を失う原因の7割が歯周病といわれています。歯周病は、自覚症状がなく進行しますので、歯の動揺や歯の腫れなどが現れると、かなり進行していると考えられます。
そうならないためには、定期的な歯周病検査、歯石除去と、毎日のプラークコントロール(歯磨きなど)が欠かせません。
歯周病予防は、プラークコントロールと全身管理が大切です。個々にあった予防法を、ホームデンティスト(かかりつけ歯科医)に相談されることをお勧めします。